2015年7月19日日曜日

病と健康と仏教について②

前回に引き続き『病と健康』について書いて行きます。今回はお釈迦様のお話です。

【本当の良薬とは?!~お釈迦様に学ぶお話~】

『我等愚痴 誤服毒薬 願見救療 更賜寿命・・』(がとうぐち ごぷくどくやく がんけんくりょう きょうしじゅみょう)
[訳:愚かな私達は誤って毒を飲んでしまいました。どうか治療して下さい。そして寿命をお与えください。・・」

これは日蓮宗でよく読まれる「如来寿量品第十六」の中の《『良医治子』の喩え》に出てくるお経の一部です。このお話しは『法華七喩』の一つでもあります。

昔々あるところに大変知恵があり、沢山の病を治す立派なお医者さんがいました。ある日、そのお医者さんが外国へ出かけている間に、彼の子供達が誤って毒薬を飲んで苦しんでしまいます。帰って来るなりお医者さんは、子供達の為に色・香り・味の優れた薬を作り、早速飲ませようとしました。毒で心を失わずその薬を信じて飲んだ子供達はたちまちに治りましたが、「また苦い毒かもしれない。」と疑って、心を失ってしまって飲まない子供達は苦しみ続けていました。そこでお医者さんはある事を考えつきました。

「子供達よ、よくお聞きなさい。お父さんは今からもう一度外国に行かなければならない。お父さんはもう年寄りだから、いつどこで死ぬかもわからない。もしお父さんが死んでも、きちんと皆で協力して暮らしていくのだよ。そしてここにとても良い薬を置いておくから苦しい時は必ず飲むのだよ。」そういってお医者さんは家を後にしました。その後、彼は子供達の元に使いを出して、「お父さんが旅先で亡くなられました。」と告げさせました。子供達は大変驚き、悲しみ、そして父がいない寂しさと親の有難みを知るのです。そして、薬を飲まなかった子供達が父親の言葉を心から信じて、残していった良薬を飲むとたちまちに病は良くなりました。

子供達の病が完治したという知らせを受けたお医者さんは家に帰り子供達に元気な姿を見せて、親子共々喜び合う事が出来たとの事です。

このお話は〈お医者さんである父親=お釈迦様〉〈色・香・味の優れた(色香美味)良薬=法華経(妙法蓮華経)〉〈子供達=私達衆生〉を表わしているたとえ話です。私達はよくお釈迦様の子供である・・といわれていますよね。

お釈迦様は、「自分がもし入滅しても(亡くなっても)、いつの世も法華経を心から信じ、教えを行う事で、多くの心の病を直す事ができるんだよ。そしていつも、いつの世も見守っているのだから教えを忘れてはいけないよ。」とおっしゃっているのです。

次回は日蓮聖人から『病と健康』について学んでいきましょう。

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