度牒の交付を受けると、正式に出家したと認められます。簡単に言うと、私の場合はお坊さんの卵(小僧さん)になったという事です。日蓮宗の場合は先程も書いた千葉県清澄にある清澄寺というお寺で受けなければなりません。日蓮聖人もこの清澄寺で12歳で出家得度され、ここにお墓も祀られています。日蓮聖人の弟子となる私達も同じ場所で出家する・・という決まりなのです。
1日目は午後からお寺に入り、読経の試験や作法を受けます。これが夜まで行われ、翌日は早朝5時~、お題目を唱えながら境内(敷地内)の旭が森に登り、(晴れていれば)ご来光に向かってお経を唱えます。今回は少し曇ってはいましたが、若干ご来光を見る事が出来ました。とても感動的でした。日蓮聖人も32歳でこの旭が森に登られ、立教開宗の第一声(南無妙法蓮華経)を唱えられ、蓮長から日蓮という名前に改名されたそうです。その後、お堂にて度牒交付式が行われ、出家した度牒生一人一人に証書と袈裟が渡されます。ここで初めて袈裟をつける事が許されます。
清澄寺さんは想像以上に山奥にあり、車で駅から15分と言っても、なかなかの険しい山道でした。まだ道路や車のない時代、隣町の小湊からひたすら歩いてお寺に入られた上に、更に山頂にある旭が森に登られた日蓮聖人はさぞや気力・体力共にとてもお強い方なのだと本当に感銘しました。
あと九州から受けに来ていたのは、私以外に2名しかいらっしゃらなかったのですが、何と!お一人は私の親戚筋の方という事が発覚し、もうお一人は私が霊断でとてもお世話になっているお上人のお寺の方で、付添いにいらしたお上人と思わぬ再会をし、とても不思議なご縁を感じました。更にそのお二人とお部屋も同室だったので、お蔭で見知らぬ地での緊張もほぐれて有難い時間を過ごさせて頂きました!本当に感謝です。
解散して、その親戚筋の方と、付添いにいらしていたご主人でもあるお上人と予定より1本早い電車に乗れたのはよかったのですが、途中原因不明の停電の為、電車がストップしてしまい、約1時間半電車は動きませんでした。電車が止まっている間、そのお上人が飲み物を買ってきて下さったり、私の飛行機の時間を心配して下さったり・・とそのお気遣いの素晴らしさと穏やかさに感激してしまいました。トラブルの中にも、とても素敵なご夫婦との交流があったので、なかなかの良い思い出になりました。そして、空港の搭乗口に15分前に着いて(ギリギリですね・・)無事に帰路につく事が出来ました。
まだまだ度牒はお坊さんの第一歩なので、今後檀信徒さんはじめ、周りの皆さんに役立てるようなお寺の一員となれるように、厳しい勉強も乗り越えていこうと思います。